2001/04/17

ノート(赤)

子どもたちに 安心安全 本物を!
塩加納村を視察
茨城食健連の学校給食ウォッチング  


 福島県の熱塩加納村は、喜多方市の向こう、会津の最北端にあり、飯豊(いいで)山系を境にして山形県に隣接しています。世帯数は約1000戸、人口が約3900人、村の総面積の約98%は山林で、農用地は、わずかに5.9%という山村地帯です。ここで、地元の無・低農薬有機栽培のさゆり米(自生しているヒメサユリにちなむ命名)と無農薬野菜をとりいれている学校給食を視察にいってきました。

 二種兼業農家が圧倒的に多い中で、農協が中心となって、これまでのような化学肥料中心の稲作から転換して、無農薬有機栽培にとりくんできました。この安全でおいしい米を子どもたちに食べて欲しいと地元やPTAが取り組み、1989年から特例として補助も受けながら完全米飯給食がはじまりました。紆余曲折を経ながら現在は、村、農協と父母負担のなかで継続されています。野菜については、その年に赴任した栄養士さんが、農協の営農指導の方の申し入れをうける形ではじまりました。夏場の無農薬きゅうりをぜひ使って欲しい、使いたいというお互いの熱意から、学校給食の現場に畑から直送の野菜が登場するようになりました。今では、「まごころ野菜供給者の会」(12〜13軒)が組織され、給食で使われるほとんどの野菜がまかなわれています。サイズは不揃いですし、無農薬ですから虫も付いていたりして、下処理が大変です。それでも「旬の新鮮で安全な野菜」がメニュ−にならぶよう栄養士さんや調理師さんの工夫や努力が続いています。

 「食は命ということで、子どもたちの心身の健康を学校給食のピラミッドの一番上に置いて、それを目指して、どういうふうにすれば子どもたちの健康が守れるのかということを、子どもの家庭も、学校の先生も地域、行政もみんなで一緒に考えながら進んでいる」という栄養士さんの言葉に取り組みの構えが示されています。成長期の子どもたちにより安全な食材を使うことが徹底されています。ちなみに、この日試食させていただいたメニュ−は、梅昆布ご飯、トン汁、蒸鮭のタルタルソ−スかけ、おひたし・くだものというもの。8分付きのさゆり米に胚芽麦、現場の手作りの梅漬けにおまけに桜の花の塩漬け。野菜たっぷりの汁には地元の無農薬大豆のみそ、青菜といもがらのお浸しには削り節たっぷりのうす塩の醤油味がつき、ソ−スは自然卵と手作りのピクルスを使い、甘夏は特別に熊本から取り寄せた無農薬・ノ−ワックスのもの。圧巻は、おまけの草団子。子どもたちがとってきたヨモギをゆがき、地元の小麦粉とアズキを使ったもの。子どもたちがどれほどおいしく食べているかは、きれいに空にした食器が物語っていますが、最後に残した小さな草団子をいとおしそうににこにこと食べていた姿がなんとも印象的でした。

 もう一つ大きな柱は、゛食教育こそ命の教育の原点だ゛として教育の場で様々な食体験をくんでいることです。毎日、生産者を野菜とともに明記し、調理室前に展示することはもちろん、春一番のつくしから秋のいなごまで子どもたち自身が収穫した食材も給食に取り入れ、お昼に放送し、そのしたごしらえも子どもたちの協力をえていました。そうすることで関心も高まり、身近な知恵として体得しています。また、節ごとの伝統食やPTAの給食委員会の協力を得て行事食をとりいれるなど、食文化を伝える場ともなっています。そして一番大きい食体験は、二つの小学校ともとりくんでいる全校生による無農薬米作りです。田植え、草取り、稲刈り、収穫後の調理も含め、食材の味わいはもちろん、その苦労を通して、忍耐や農業への理解等体で学び取っています。

 世間を見回すと、世界中の食材が農薬も添加物も頓着なしにあふれています。食の安全指導も位置づけながら、給食では、顔の分かる食材と調理法にこだわり、メニュ−の変更にも柔軟に対処しながら、子どもたちに本物を、と力を尽くしている様子が清々しく、これこそ当たり前の姿かと痛感しました。  確かに、小さいところだからできる側面も少なくないでしょう。しかし、大事な事は、子どもたちに何を伝え、残していくのか、本物のおいしいものを少しでも、という姿勢から始まるのではないでしょうか。50sのじゃがいものうち5sでもいい、このおじさんがつくったんだよ、こんな苦労をして出来たものなんだよ、とぜひ子どもたちに伝えて欲しい、そこから始める事ができます。と栄養士さんは語っていました。ぜひ取り組んでいきたいと思いを強くしました。

 



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