2000/09

ノート(赤)
(2000年9月議会一般質問から)

  稲作と結んだ街づくり

「レンゲの里」の提案


 

 農業と街づくりに関して質問と提案をいたします。
 私自身、農業経営に携わっている北茨城市民の一人として、市の農政との接点というものを考えてみると、まず思い浮かぶのは田んぼの減反です。圃場整備や用水施設の改修などでも力を尽くしていただいていることは承知してはおります。しかし、農家の嫁という視点に立って申し上げれば、農政というのは、田んぼに米を作るなという押し付けをしてくる存在というのが率直な第一印象です。市当局として不本意でありましょうが、これからの農業をどう継続・発展させるのかという指針がまったく示されていないことによるものだと考えます。
 いわゆる米の減反政策は30年の永きにわたって継続されています。その間、やれ食管制度を守るためとか、やれ米の輸入を阻止するためとか、そのときどきに都合のいい理由がつけられて、しかし、そのことごとくが破られてしまって、いま減反押し付けの唯一の理由として掲げられているのが「米価の低下を防ぐため」というものです。
 ところが現実はどうでしょう。全国的にも当市においても、示された減反の目標数値を達成してきているにもかかわらず、価格は暴落をつづけています。今年の農協の仮渡し金でみると、コシヒカリの1等米でも、玄米1俵が12400円(消費税を勘案)。価格安定基金やら共補償やらという負担増も考えると、米の輸入が始まる前と比較して、わずか6年間で1俵当たり1万円以上の暴落です。
 経営としての稲作が成り立つ価格ではなくなってしまっている事態、まさに緊急事態であると私は考えます。現状を、市当局はどうみているのかまず問うものであります。
 さらに、「価格低下を防ぐため」という理由で、ヒトもカネも費やして減反を推進している行政として、放置することは許されない事態であると考えますが、その点についての市当局の見解、および、経営としての北茨城の稲作がつぶれてしまうまで手をこまねいているつもりではないとすれば、現時点で検討しているであろう対策についてお示しいただきたいと思います。

 (再質問)
 花やトマトや畜産の生産者が頑張っていることは頼もしい限りですし、今後とも大いに伸びていくことを期待したいと思います。ただし、それを盾にして市当局として満足されてしまっては、甚だ不十分ではないでしょうか。
 ここ北茨城の地をみまわしたとき、目に入る風景は山と海と、そして水田です。この市農業の大半を占める稲作への対策をないがしろにしていいはずはありません。先に述べたように水田農業が危機に瀕しているまさにこのときに、本気になって取り組むのは減反の推進ばかり、あとは手をこまねいていて、国や県に指示されたことをこなすだけ、あるいは補助金を見つけて施設を作れば役割を果たしたかのような姿勢を改めることを求めます。市の農業発展を期し、街づくりとも結びつけた前向き、積極的な施策の展開を求めたいと思います。
 担当課の話をうかがったさい、そんなことは国の問題だという言われ方もなさいました。そのことに関して、一昨日の新聞にのった小さな記事が目に止まりました。オーストラリアの農政当局者が、アメリカやヨーロッパにおいて農業補助金が増やされていること、そしてセーフガードの乱発に留意を促しているという内容です。ここでいっているセーフガードとは、輸入の増加が国内産業に打撃を与えているばあいに緊急に輸入を制限できる、WTO協定にも認められた制度です。アメリカでもヨーロッパでも、そしてお隣の韓国でも、このセーフガードを発動して国内農業を守っているわけです。ところが、わが日本政府は、これまで米でも野菜でも輸入の急増によってどんなに国内産業が打撃を受けようともセーフガードを一度たりとも発動していません。ですから、たとえば地域農業を守るために、このセーフガードの発動を国に求めていくことは自治体の役割であると考えます。
 そのように、地方と農家の立場にたった国への働きかけを強めていくと同時に、やはり地方自治体として独自の発想で地域の暮らしと産業を守り発展させていく取り組みに力を入れていくことを求めたいと思います。
 お示しするパネルは、私の故郷である北海道の旭川市にもほど近い北竜町という小さな町が取り組んでいるヒマワリ畑の写真です。何年か前、私の夫が北竜町農協の組合長さんを訪ねたことがあります。そのさいに聞いた話を紹介させていただきます。  この町では早くから有機米の栽培に力を入れ、福岡県のほうの生協と連携して、農産物の流通ばかりでなく人と人との交流にも力を入れてきたそうです。そして写真のひまわり畑ですが、組合長さんの話によれば、たった一人の着想がきっかけだったといいます。
 役場だったか農協だったか失念しましたかが、ある1人の職員の方がヨーロッパを旅行したさい、ふと飛行機の窓から一面のひまわり畑が見えたそうです。これで町おこしができないものかと、その後、農協や役場、商工会などを巻き込んで、町ぐるみの取り組みにしてきました。そうして今では、わずか人口2700人ほどの町に夏の1ヶ月たらずの期間だけで、20数万人が訪れるまでになっています。ひまわりを活用したアイスクリームやワイン、温泉など次々に新しい特産品・施設も生まれ育っています。 町の資料によれば、昨年は24万2000人が訪れたとあります。
 こうした意欲ある取り組みは、国や県の指示を受けてこなしているだけでは絶対に生まれてこないと思います。職員も市民も、一人ひとりが前向きに街づくりを考えられるような、そういった夢のある施策を示すことが地方自治体の一つの大きな役割であるはずです。  
  もう一つお示しするパネルは、私の住んでいる天橋地区の航空写真です。ちょっとパソコンで画像処理をして、田んぼ全部にレンゲソウの花を咲かせてみました。北茨城市が、私たちの町が、実際にこんな風景になったら、何と素敵なことでしょう。グリーンツーリズムをハコモノつくりのためのお題目にするのでなく、農村を、やすらぎと人間性回復の場とする真に中味のあるグリーンツーリズムの発信基地をめざすことで、街づくりと農業の再生・発展が期待できる、その可能性が広がると確信します。
 もちろん、レンゲソウにこだわるわけではありません。しかし、それでも自ら実践を重ねている事例として具体的に提案をしたいと存じます。
 むかし理科の授業で習ったことですが、豆科の作物であるレンゲソウは、根粒バクテリアという細菌と共生関係をもって、空気中の8割を占めるチッソを地中に肥料として固定する能力をもっています。稲を収穫した後の田んぼに、レンゲソウの種をまいて、それを有機肥料として活用することができることは、かつてはどこでもおこなわれていたことです。わが家では、今年3haの水田に化学肥料を全く使うことなく稲を栽培し、全量を直接消費者に届ける計画です。そして何より今年の春、五月の連休に、磯原から中郷にかけての1万坪ちかくでレンゲソウの花の景色を演出できたことが大きな自慢です。さらにアイガモ利用による無農薬の試みについては機会を改めて報告また提案をさせていただくつもりですが、たった一軒の農家でも、このていどのことまではできるわけですから、行政が本気になれば、さらに相当のことができるはずです。
 ひきつづき私としては、北茨城の農業の大きな割合を占める水田稲作を守り発展させる方向で、さらにあわせて街づくりの一つの方向としても、「レンゲの里〜北いばらき」、あるいは「花の街〜北茨城」を自らの実践も重ねながら提案していく所存です。
 現段階では、そのとおりにやれと要求するものではもちろんありませんが、ぜひ市当局にあっても、国県言いなりにとどまらない、市独自の前向き具体的な農業施策、そして街づくり施策の推進を求めて要望・提案といたします。  




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